ファシズムとは何か?ヒトラーとムッソリーニの世界恐慌対策と全体主義の正体

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 なぜ人々はヒトラーを支持したのか?

 なぜ民主主義のドイツで独裁が生まれたのか?

 背景には第一次世界大戦の敗戦

 物価1兆倍のハイパーインフレ、そして世界恐慌の影がありました。

 本記事では、ヒトラーとムッソリーニによるファシズムの成立過程と、国民が惹かれた政策、全体主義の本質までをやさしく解説します。

 中高生にも読みやすく、テストにも役立つ一記事です。

ファシズム台頭の背景と流れ

ドイツの敗戦とベルサイユ条約の衝撃

 第一次世界大戦後、ドイツはベルサイユ条約を結びます。

 内容を見ていきましょう。

  • ドイツは植民地をすべて失う
  • ドイツは領土の13.5%を失う(日本で例えると北海道分)
  • ドイツは農耕地13.5%・鉄鉱石鉱床の75%を失う
  • ドイツは国家予算の25倍の賠償金を課せられる
  • ドイツで第一次大戦後、職に就けた人はわずか30%以下とも言われる

 さらには、賠償金を返済するためお金を大量に印刷
 その結果、物価が1兆倍になり、子どもが札束で遊ぶ写真まで…。

世界恐慌と植民地問題が追い打ちに

 1929年、アメリカ発の世界恐慌が起こります。

 イギリスやフランスはブロック経済を実施し、貿易相手を植民地に限定。

  • ➡️ 植民地を持つ国 → 儲かる
  • ➡️ 植民地を持たない国(ドイツ・イタリアなど)→ 輸出が難しく損をする

 「もう、軍事力で取り返すしかない!」ドイツは植民地を求め、ヒトラーが台頭してきます。

ヒトラーの政策:軍事だけじゃない?国民が支持したワケ

ヒトラーが行ったこと

  1. 軍備拡張・ワイマール憲法停止
  2. 秘密警察による監視・言論の制限
  3. ユダヤ人の迫害(約570万人が犠牲とされる)

しかし、それだけではありません。

  • アウトバーン(高速道路)建設 → 失業者に職を
  • フォルクスワーゲン(国民車)制作 → 誰でも車を持てる時代へ
  • ベルリンオリンピックの成功
  • 中小企業支援・子育て支援
  • → 結果:失業率ほぼゼロ!

 こうして多くの人がヒトラーの経済政策に「希望」を見出しました。

ファシズムとは?そして「全体主義」とは?

 ヒトラーの思想はこうです

 「強い者が弱い者を支配するのは当然。人間は平等ではない。」

 このような人間の平等を否定する政治思想を「ファシズム」といいます。

 さらに、ファシズム国家では、

  • 国民は個人の自由より、国家や指導者に従うべき
  • 民主主義や言論の自由を否定する体制

→ これを「全体主義」と呼びます。

ムッソリーニとファシスト党:ヒトラーの“先輩”

 ヒトラーには「思想の先輩」がいました。

 それがイタリアのムッソリーニ

  • 植民地が少ないイタリアでも、経済回復と領土拡大を目指して軍備拡張
  • ムッソリーニが率いた政党がファシスト党
  • ファシズムの語源にもなったこの党が、ヒトラーに影響を与えたのです

まとめ

用語解説
ベルサイユ条約第一次大戦後、ドイツに重い賠償と領土損失を課した講和条約
世界恐慌アメリカ発の経済不況が世界に広がった(1929年〜)
ブロック経済植民地とのみ貿易し、他国を排除する経済政策(英・仏)
ファシズム個人の自由や民主主義を否定する独裁的政治思想
全体主義国家や指導者のために国民が従属する政治体制
ヒトラーナチス党の指導者でファシズムを実行した独裁者
ムッソリーニイタリアの独裁者。ファシスト党を率いたファシズムの先駆者

確認問題

単語の確認問題(選択式)

  1. 物価が1兆倍になるほどのインフレが起こったのはどの国?
    A. イギリス B. 日本 C. ドイツ D. ソ連
  2. ブロック経済を採用して自国と植民地のみに貿易を限定したのはどの国?
    A. ドイツとイタリア B. アメリカと日本 C. イギリスとフランス D. ロシアと中国
  3. ヒトラーが率いた政党の名称は?
    A. ファシスト党 B. ナチス C. 労働党 D. 社会民主党
  4. ファシズムの語源となった政党を率いた人物は誰?
    A. ヒトラー B. ルーズベルト C. レーニン D. ムッソリーニ
  5. 国家が中心で国民の自由や民主主義を制限する政治体制を何という?
    A. 自由主義 B. 議会主義 C. 全体主義 D. 民本主義

✅ 単語の確認問題の答え

  1. ドイツ
  2. イギリスとフランス
  3. ナチス
  4. ムッソリーニ
  5. 全体主義

✍️ 用語練習問題(記述式)

  1. ベルサイユ条約
  2. ブロック経済
  3. ファシズム
  4. 全体主義
  5. ヒトラー

✅ 用語練習問題の答え

  1. ドイツが第一次世界大戦後に結ばされた、賠償金や領土の制限を含む講和条約
  2. 植民地とだけ貿易を行い、他国製品を排除する経済政策
  3. 民主主義や自由を否定し、強い指導者のもとで国家を優先する思想
  4. 国家や指導者に国民全体が従い、個人の自由が制限される政治体制
  5. ナチスを率いて独裁体制を築き、ファシズムを実行したドイツの独裁者

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