世界恐慌とは何か？アメリカ発、不況の連鎖と各国の対応

「世界最高の生活水準」とうたわれたアメリカ。

　その経済は、第一次世界大戦の好景気を追い風に絶頂を迎えていました。

　しかし

　1929年、大量生産・過剰供給・輸出低迷などが重なり

　史上最大級の経済危機「世界恐慌」が起こります。

　本記事では、アメリカの繁栄から転落、ローズベルト大統領によるニューディール政策、イギリス・フランスのブロック経済、ドイツや日本の軍事化、そして唯一恐慌の影響を受けなかったソ連まで、世界を揺るがした不況と各国の対応をわかりやすく解説します。

世界恐慌

アメリカの繁栄と影

　第一次世界大戦中、アメリカは戦場にならなかったため、豊かさと娯楽文化が花開きます。

• ラジオ放送が開始、ベーブ・ルースが人気選手に
• ジャズの流行、チャールストンダンスに夢中の若者たち
• T型フォード：流れ作業による大量生産で、自動車が一気に普及（2軒に1台）

→ アメリカは「世界No.1の豊かさ」を誇っていました。

好景気の終焉と世界恐慌

• 自動車などの耐久消費財は一巡すると売れなくなる → 企業が倒産
• ヨーロッパの戦後復興によりアメリカ製品の輸出が激減
• 株価の暴落とともに企業・銀行が連鎖倒産

➡ 1929年、世界恐慌が発生
➡ パンの配給を待つ人々の行列がアメリカ中に
➡ イギリスやフランスなど他国にも不況が波及

アメリカの対応　ニューディール

　アメリカは世界恐慌の対策を行います。

　行った人はローズベルト大統領

　対策の名前「ニューディール」です。

政策内容	具体例
生産調整	農産物・工業製品を作りすぎないように制限し、価格維持
公共事業	ダム・道路・鉄道などの建設を国家事業として行い、失業者を雇用
労働組合保護	給与引き上げ・労働条件改善を交渉できる労働組合を法的に支援

▶ 社会主義に似た政策も導入：「資本主義の国アメリカ」とは思えない対応

イギリス・フランスの対応：ブロック経済

　イギリスとフランスも世界恐慌の対策を行います。

　ブロック経済です。

ブロック経済とは？

• 植民地だけを貿易相手にし、関税で自国市場を保護
• 「自国＋植民地」で経済を回す仕組み
• 植民地が多い国（イギリス・フランス）は有利
• 植民地が少ない国（ドイツ・アメリカ）は排除され不利　不満が高まる

➡ 結果、日本・ドイツ・イタリアは新たな植民地獲得のため軍事化を進める

世界で唯一…恐慌の影響を受けなかった国がある

　世界恐慌の影響を受けなかった国があります。

　それがソ連（ソビエト連邦）です

• 社会主義の計画経済（五か年計画）を採用
• 景気と関係なく国が生産をコントロール
• 輸出入や株価に依存しないため、影響を受けずに成長を続ける

➡ この成功例により、共産主義が各地で注目されるようになる

各国の対応まとめ

国・地域	世界恐慌への主な対応策
アメリカ	ニューディール政策（公共事業・生産調整）
イギリス・フランス	ブロック経済（植民地との貿易で経済圏を閉じる）
日本・ドイツなど	植民地拡大と軍備強化による資源確保
ソ連	計画経済によって影響を受けず、むしろ経済成長

まとめ

用語	内容
世界恐慌	1929年アメリカ発の大不況。世界中に影響
ニューディール	アメリカの恐慌対策。生産調整・公共事業など
ブロック経済	植民地中心で貿易を制限する経済政策
計画経済	国が生産量を決める社会主義の経済モデル

確認問題

単語の確認問題（選択式）

次の文の（  ）にあてはまる正しい語句を A～D から選びましょう。

1. 流れ作業によって大量生産された自動車は（  ）である。
   A. セダン B. ハイブリッド車 C. T型フォード D. ベンツ号
2. 世界恐慌の影響を受けなかった国は（  ）である。
   A. アメリカ B. ドイツ C. 日本 D. ソ連
3. ローズベルト大統領が行った景気回復政策を（  ）という。
   A. グリーン政策 B. ニューディール C. 五か年計画 D. オープンドア政策
4. イギリス・フランスがとった経済対策は（  ）である。
   A. 自由貿易 B. 大量輸入 C. ブロック経済 D. 通貨統一
5. 計画経済とは（  ）によって生産量を決める経済体制である。
   A. 投資家 B. 労働組合 C. 企業連合 D. 国家

✅ 単語の確認問題の答え

1. T型フォード
2. ソ連
3. ニューディール
4. ブロック経済
5. 国家

用語練習問題（記述式）

次の語句を、15〜30字で説明しなさい。

1. 世界恐慌
2. ニューディール
3. ブロック経済
4. 計画経済
5. T型フォード

✅ 用語練習問題の答え

1. アメリカから始まった世界的な経済不況（1929年）
2. アメリカの景気回復のための公共事業・生産調整政策
3. 植民地との貿易に限定して経済圏を作る政策
4. 国が生産や流通を計画的に管理する社会主義経済
5. フォード社が流れ作業で大量生産した自動車