大正デモクラシーと米騒動——「民の声」が政治を動かした時代

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 大正時代

 日本では「国民の声」が政治を動かす時代がやってきました。

 好景気の裏で苦しむ庶民
 全国へ広がった米騒動
 そして初の本格的な政党内閣の誕生

 この記事では、大正デモクラシーの象徴とも言える米騒動を中心に、原敬の政党政治、吉野作造の民本主義までをわかりやすく紹介します。

大正デモクラシーと米騒動

🌾 米騒動:富山の女性たちが起こした「ごはん」の一揆

 第一次世界大戦の影響で、日本は好景気(=大戦景気)に沸きました。

 しかし物価も急上昇。

 特に米の価格が約3倍

 庶民の生活は困窮します。

 1918年、富山県の漁村の女性たちが米の安売りを求めて立ち上がったのが始まります。

 この運動は全国に拡大し、「米騒動」と呼ばれます。

なぜ米の値段がこんなに上がったのか?

 大きな原因のひとつが「シベリア出兵」です。

  • 日本はロシア革命に介入するために軍を派遣
  • 戦地では大量の米が必要になる
  • 商人たちが「米が足りなくなる」と先に買い占める
    → 供給が減って価格がさらに高騰!

 庶民の怒りは爆発し、政府への不満に変わっていきます

軍隊が民衆の前に…そして内閣が倒れた!

 米騒動の暴動を鎮めるため、軍隊が出動する事態に発展

 国民や議会から「軍を出すのはやりすぎだ」と強い批判が起きます。

 結果、当時の首相寺内正毅は辞任に追い込まれました。

 これも「国民の声が政治を動かした」例。

 まさに大正デモクラシー

原敬と政党内閣の誕生

 寺内首相のあとに登場したのが、岩手県出身の原敬(はらたかし)

 藩閥ではない初の「平民宰相」として国民の人気を集めました。

 原敬は当時最大の政党「立憲政友会」の代表であり、内閣を政党メンバーだけで構成。

 このように、政党が中心となって内閣を組織する制度を「政党内閣」といいます。

 これが日本で初めて実現した瞬間でした。

吉野作造と民本主義の考え方

 「民本主義(みんぽんしゅぎ)」とは、「国民の意思を政治に反映させるべき」という考え方です。

 ただし主権を「天皇」から「国民」に変えるという意味ではなく、

 「主権は天皇だが、選挙や政党政治によって民意を反映させよう」という立場です。

 この考えを唱えたのが、吉野作造

 民本主義は、大正デモクラシーの思想的支柱のひとつです。

キーワードまとめ(復習!)

キーワード説明
護憲運動憲法に基づく政治を求めた市民の運動
米騒動富山の女性たちから始まり全国に広がった米の高騰への抗議
政党内閣議会で議席が多い政党で内閣を組織する制度
民本主義国民の意思を尊重し政治に反映させる考え方
原敬藩閥出身でない初の総理。政党政治を実現

練習問題:大正デモクラシーを復習しよう

次の文の(  )に入る最も適切な語を、A〜Dから1つ選びましょう。

  1. 1918年、富山県から始まり全国に広がった米の高騰への抗議運動を(  )という。
    A. 大戦景気 B. 民本主義 C. 米騒動 D. 緊縮運動
  2. 日本がロシア革命への干渉として出兵したできごとを(  )という。
    A. 日露戦争 B. シベリア出兵 C. 朝鮮進出 D. 北方領土問題
  3. 多数派政党が内閣を組織する仕組みを(  )と呼ぶ。
    A. 政党内閣 B. 皇族内閣 C. 官僚主義 D. 陸軍政治
  4. 原敬は(  )出身であり、初の「平民宰相」と呼ばれた。
    A. 薩摩藩 B. 東京府 C. 岩手県 D. 長州藩
  5. 吉野作造が唱えた「国民の意思を政治に反映させる」考え方を(  )という。
    A. 市民革命 B. 民主主義 C. 民本主義 D. 平等主義

✅ 答え

  1. 米騒動(C)
  2. シベリア出兵(B)
  3. 政党内閣(A)
  4. 岩手県(C)
  5. 民本主義(C)

単語練習問題【用語説明】

次の用語の意味を、15〜30字で説明しなさい。

  1. 米騒動
  2. シベリア出兵
  3. 政党内閣
  4. 民本主義
  5. 原敬

✅ 答え

  1. 米騒動:米の高騰に抗議し、富山県から全国に広がった民衆運動
  2. シベリア出兵:ロシア革命に干渉するため日本が派兵したできごと
  3. 政党内閣:多数派政党が内閣を組織する政治体制
  4. 民本主義:国民の意思を尊重して政治を行うべきという思想
  5. 原敬:立憲政友会の代表で、日本初の政党内閣を組織した総理大臣

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