「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません、勝つまでは」――
太平洋戦争へと向かう日本で、私たちの生活はどのように戦争に巻き込まれていったのでしょうか。
この記事では、衣服の切符制や戦時標語、そして国家総動員法・大政翼賛会の仕組みをわかりやすく解説します。
中学生から大人まで、戦争がどのように「日常」を変えてしまったのかを学べる内容です。
戦時体制
衣服も切符がなければ買えない?切符制の生活
戦争によって物資が不足すると、暮らしの中にも「制限」が生まれます。
- 服を買うには切符(点数制)が必要になり、年間80点しか支給されません。
- 上着:50点、学生服:32点、ブラウスも50点。
→ たった2着で切符が尽きるため、オシャレなどは夢のまた夢。
→ 国民は服を補修して長く着たり、古着を回しあったりして暮らしました。
戦時中のスローガンが街にあふれる!
街には次のようなキャッチコピーがズラリと並びました:
- 欲しがりません、勝つまでは
- すべてを戦力へ
- ガソリン一滴は、血の一滴
- 足らぬ足らぬは工夫が足らぬ
- 買うな!勝たぬと無駄なもの
このような標語が、日々の買い物や言動までを「戦争に役立つかどうか」で判断させる空気を作っていきます。
その一方で
看板への「ささやかな抵抗」も…
そんな中、一部の人々は言葉遊びで反対の意思を示そうとしました。
- 「ぜいたくはてきだ」の「てき」に“す”を足して…
→ ぜいたくは“すてき”だ(贅沢こそ素敵なことだという意味にも!) - 「たらぬたらぬはくふうがたらぬ」では、
→ 「く」を消して→ 「足らぬ足らぬはくうが足らぬ」
→ 食べ物が足りないのだ!と窮屈な暮らしを表した。
国家総動員法とは?
1938年に成立した「国会総動員法」
この法律は、国民の暮らしを一変させました。
- 議会の承認なしに物資や労働力を戦争に動員できる
- 工場や軍需産業への強制労働
- 徴兵・軍事命令に拒否できない制度
例えば…
- 銅像や寺の鐘を軍需資材として接収(没収)
- 家の鍋・やかん・お釜まで差し出すことを求められる
→ 日常生活がそのまま「戦争の一部」になっていくのです。
大政翼賛会とは?政党が消える
1940年には大政翼賛会(たいせいよくさんかい)が発足。
- すべての政党を解散させ、政府に協力させる組織
- 政治の言論・議論がなくなり、政府の独裁体制が強化される
- 表現や報道の自由も制限され、「戦争反対」と言えば命取りにもなりました
→ 国民全員が「戦争に賛成」であるかのような一体感と圧力が作られていきました。
まとめ
用語 | 内容 |
---|---|
切符制 | 点数制でしか衣類などが買えず、生活に制限がかかる制度 |
国家総動員法 | 労働・物資・命令を議会抜きで政府が統制できる法律(1938年) |
大政翼賛会 | 政党を解散させて政府に協力させた国民統制の組織(1940年) |
確認問題
単語の確認問題(選択式)
- 衣服を買うために必要だった制度は?
A. 配給制 B. 商品券制 C. 切符制 D. 値引き制 - 国家総動員法が成立したのは?
A. 1931年 B. 1945年 C. 1938年 D. 1940年 - 国家総動員法により持ち出された家庭用品として正しいものは?
A. 食品 B. 書籍 C. 鍋・やかん・釜 D. 衣類 - 大政翼賛会ができたことで起きた政治の変化は?
A. 政党の誕生 B. 政党の自由化 C. 政党の解散 D. 選挙の活発化
✅ 単語の確認問題の答え
- 切符制
- 1938年
- 鍋・やかん・釜
- 政党の解散
用語練習問題(記述式)
- 国家総動員法
- 大政翼賛会
- 切符制
- 戦時スローガン
- 戦時体制
✅ 用語練習問題の答え
- 政府が議会の許可なく物資・労働力を戦争に動員できる法律
- 政党を解散し、政府が国民を一体化させた組織(1940年)
- 生活物資が限られ、決まった点数分しか購入できない制度
- 「欲しがりません勝つまでは」など、生活全体を戦争協力へ導く標語
- 戦争のために国民生活が統制される社会体制のこと
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