1990年代、日本は政治、経済、国際社会との関係で大きな変化を迎えます。
カンボジアへのPKO派遣や、戦後続いた55年体制の終了、そしてバブル経済の崩壊から平成不況へ…。
この記事では、それらの出来事を分かりやすく紹介します!
1990年代 日本外交
1. PKO派遣 ― カンボジアへの国際貢献
殺しの野(Killing Field)と呼ばれたカンボジア
- 1980年代のカンボジアは、ポルポト政権のもとで800万人中200万人が犠牲に
→ 国家は荒廃し、平和への道を探していました
日本のリーダーシップと和平協定
- 1991年「パリ和平会議」に日本が参加
→ カンボジア和平協定が成立
→ 日本が平和条約に署名するのはベルサイユ条約以来72年ぶり
PKOとは?日本の五原則
カンボジア復興のため、日本はPKO(国連平和維持活動)に参加
日本のPKO五原則(法律に基づく派遣条件) |
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① 紛争当事者の合意があること |
② 参加に同意していること |
③ 中立を守ること |
④ 条件が破られたら撤退できる |
⑤ 武器の使用は最小限に |
→ 自衛隊・警察官・ボランティアが派遣され、道路整備や選挙支援に活躍!
犠牲と決断、そして成果
- 国連ボランティアの中田厚仁さんと、警察官高田晴行さんが武装勢力により殉職
→ 五原則の①②④が守られていなかったことから、世論はPKO中止を要求
しかし、宮澤喜一首相は「カンボジアの平和はまだ崩れていない」と継続を決定
- 結果:カンボジアで**初の民主選挙(投票率95%)**が実現!
なぜここまでする?湾岸戦争の教訓
- 1991年、湾岸戦争:日本は兵力を出せず、約1兆5,500億円を拠出
→ クウェートの感謝広告に日本の国旗なし!
→ 「お金しか出さない国」という批判を受け、PKOでは人を派遣する方針へ!
2. 55年体制の終わり ― 冷戦後の政治転換
用語 | 内容 |
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55年体制 | 1955年〜、自民党と社会党の二大体制 |
崩壊の背景 | 冷戦終結により対立の軸が消える/自民党の不祥事で信頼失墜 |
結果 | 1993年、自民党が政権交代で下野(政権を失う) |
冷戦が終わると、政治の景色も大きく変わっていったのです
3. バブル景気と平成不況
泡のようにふくらんだ「バブル経済」
1980年代後半、日本では…
- 土地や株の価格が異常に上がる!
- 「不動産を持っていれば安心」という考えが広がる
- 銀行も企業も投資に熱中!
→ バブル経済(泡のようにふくらむ好景気)が生まれます
そして…崩壊。はじまる平成不況
- 1990年代に入り、株や地価が一気に下落!
- 銀行破綻、企業倒産が相次ぎ、不況に突入
この長くつづく不況は「平成不況」と呼ばれました
まとめ
用語 | 解説 |
---|---|
PKO | 国連の平和維持活動。日本はカンボジアへ派遣 |
55年体制 | 自民党と社会党の二大体制。38年続いた政権構造 |
バブル経済 | 土地や株の価格が実体以上にふくらんだ景気 |
平成不況 | バブル崩壊後の長くつづいた経済不況 |
確認問題
❓ 単語の確認問題(選択式)
- カンボジアで大量虐殺を行った政権のリーダーは?
A. ホー・チ・ミン B. ゴルバチョフ C. ポル・ポト D. スカルノ - 日本がPKOに参加したとき守るべきとされたものは?
A. 五原則 B. 三権分立 C. 非武装条項 D. 憲法第25条 - 55年体制を支えた政党の組み合わせは?
A. 自民党と共産党 B. 自民党と社会党 C. 公明党と社民党 D. 民主党と緑の党 - バブル経済で高騰したものはどれ?
A. 食料とエネルギー B. 地価と株式 C. 通信費と輸入品 D. 円安とドル安 - バブル崩壊後の不況を何と呼ぶ?
A. 昭和恐慌 B. 安定成長期 C. 平成不況 D. 経済大戦
✅ 単語の確認問題の答え
- C. ポル・ポト
- A. 五原則
- B.自民党と社会党
- B. 地価と株式
- C. 平成不況
✍️ 用語練習問題(記述式)
- PKO五原則の中で、最も大切だと思うものを1つ選び理由も述べなさい
- 日本が湾岸戦争で批判された理由と、その後の対応について説明しなさい
- 55年体制がどのようにして終わったのか、理由を挙げて説明しなさい
- バブル経済とは何か。どんなものの値段が上がったかも含めて説明しなさい
- 平成不況によって日本社会にどのような影響があったか、1つ述べなさい
✅ 用語練習問題の解答例
- 例:④の「条件が崩れたら撤退できること」。無理に残って被害を受けることを防ぐため
- 日本は兵を出さずお金だけの支援だったため「お金しか出さない」と批判された。その反省からPKOに人を派遣した
- 冷戦が終わり社会党が弱体化。自民党も汚職問題で信頼を失い、政権から退くことになった
- 土地や株の価格が実際以上に上がり続けた好景気。最後には価格が下がって崩壊した
- 企業の倒産や失業者が増え、「就職氷河期」と呼ばれる時代が生まれた
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