昭和恐慌とは?政党政治の行きづまりと国民の苦しみをわかりやすく解説!

この記事は約4分で読めます。

 1920年代

 大正デモクラシーからはじまった「政党内閣」と「普通選挙制度」。

 日本は民主主義への道を歩み出したかのように見えました。

 しかし、現実は違いました。

 関東大震災、金融恐慌、世界恐慌が次々と日本を襲い、人々は空の弁当を抱え、生活に苦しむ時代へ突入します。

 本記事では、昭和恐慌の流れと政党政治の行き詰まりを、中学生にもわかる言葉でやさしく解説します!

政党政治と昭和恐慌の流れ

政党政治のはじまりと「憲政の常道」

 政党について復習です。

 明治時代から政党が誕生しました。創設者と政党名です。

  • 板垣退助 → 自由党
  • 大隈重信 → 立憲改進党
  • 伊藤博文 → 立憲政友会

 このうち最も大きな勢力となったのが立憲政友会。1918年の原敬内閣から、議会の多数派政党のトップが首相になる「政党内閣」が始まりました。

さらに「立憲政友会」と「憲政会(のちの民政党)」が交互に政権を担当する状況に。

 これを憲政の常道と呼びます。

 1925年には「普通選挙法」が成立し、満25歳以上の男子に選挙権が与えられました。

政党政治の行き詰まり——なぜ?

 政党政治が続く中で、次第に国民の不満が高まりました。

 その理由がこちら

  1. 経済の困難
  2. 外交の難航

 今回は「経済の困難」についてです。

経済の苦しみ:大戦景気から不景気へ

  • 第一次世界大戦中、日本はヨーロッパに工業製品・農作物を輸出
    大戦景気で好景気に
  • 戦後、ヨーロッパが自国で生産回復
    日本製品が売れ残り、不景気に!

1923年 関東大震災

 マグニチュード7.9、死者10万人を超える大災害。

 原因の多くは焼死で、突風・密集住宅・昼食準備中が重なり火災が拡大。

→ 経済復興のために借金をする人が増え、資金不足へ…

1927年 金融恐慌

 銀行が次々と倒産。

 「銀行がつぶれる → お金を借りられない・預けられない → 商売ができない → 不景気加速」

1929年 世界恐慌が追い打ちに

 アメリカで株価が暴落し、世界中で経済不況。

 日本では、生糸の輸出が激減。生糸はアメリカで高級ストッキングに使われていましたが…

 不況のアメリカでは「ストッキングどころじゃない!」

→ 輸出激減。生糸農家は大打撃を受けます。

「空弁当」の子どもたち——欠食児童と身売り

 「貧ゆえに 空弁当の子もありき 頭痛よそおい 昼食べざりき」

  • 弁当に何も入っていない子が増える
  • 「頭が痛い」と言って、食べないふりをする
  • 東北では娘の身売りも起きた
  • 店の3割、約3万店が夜逃げ

小作争議と労働争議

  • 1930年 → 豊作すぎて米の価格が下がる → 農家の収入激減
  • 1931年 → 米が不作 → 収入ゼロの農家も

小作人が地主に「小作料を下げて!」と訴える=小作争議
→ 労働組合も登場 → ストライキなどを起こして労働条件を改善しようとする=労働争議

財閥の登場と政党政治への怒り

 苦しむ国民を横目に、逆に儲けていたのが財閥(ざいばつ)

  • 不景気で苦しい企業を安く買い取る
  • 銀行・商社・製鉄など、いろんな業種に進出
  • 政治家にわいろを渡して、自分たちに有利な政策を通させる

➡ 政党と財閥に「うんざりだ!」という国民の怒りが爆発していきます。

まとめ

用語解説
政党内閣多数派政党のトップが内閣を組織する体制
憲政の常道政党が交互に政権を担うことが当たり前になる状況
昭和恐慌関東大震災・金融恐慌・世界恐慌などが重なった不況
欠食児童食事ができず、空弁当を持ってくる子どもたち
小作争議小作人が地主に小作料の減額を求めた運動
財閥政財界に強い影響を持った大資本の経営者たち

確認問題

❓ 単語の確認問題(選択式)

  1. 政党内閣が始まった時の首相は?
    A. 伊藤博文 B. 板垣退助 C. 原敬 D. 大隈重信
  2. 日本で普通選挙法が制定されたのは何年?
    A. 1923年 B. 1925年 C. 1929年 D. 1931年
  3. 金融恐慌が発生したのは?
    A. 1923年 B. 1927年 C. 1930年 D. 1933年
  4. 「空弁当」に象徴される社会問題は?
    A. 出生率の低下 B. 欠食児童 C. 過食問題 D. 教育格差
  5. 財閥に有利な政治が行われた理由は?
    A. 世襲制度 B. 労働争議 C. 賄賂のやりとり D. 選挙制度

✅ 単語の確認問題の答え

  1. 原敬
  2. 1925年
  3. 1927年
  4. 欠食児童
  5. 賄賂のやりとり

✍️ 用語練習問題(記述式)

  1. 政党内閣
  2. 憲政の常道
  3. 小作争議
  4. 財閥
  5. 昭和恐慌

✅ 用語練習問題の答え

  1. 議会の多数派政党のトップが内閣を組織する政治体制
  2. 立憲政友会と憲政会が交互に政権を担った時代の通称
  3. 小作人が地主に小作料の減額を求めた争議運動
  4. 多くの業種を支配した大資本の企業・経営者たち
  5. 関東大震災・金融恐慌・世界恐慌による昭和初期の経済不況

コメント

タイトルとURLをコピーしました