「教科書の絵から、なぜ黒人が登場するの?」
「南蛮人は何をしに日本に来たの?」
この記事では、大航海時代に日本へやってきたヨーロッパ人=南蛮人との出会いについて、教科書の絵から読み取れる情報やキリスト教・貿易・鉄砲の伝来など、当時の社会がどう動いたのかを中学生向けにわかりやすく解説します!
南蛮貿易
1. 南蛮人とは誰?どこから来た?
「南蛮人」とは、大航海時代に日本へやってきたスペイン人とポルトガル人のこと。
→「南蛮」とは、日本から見て南方にある野蛮な異国という意味でした(今では差別的な意味を含む言葉なので注意が必要です)
彼らはアジア各地をめぐる航海の途中、日本にも立ち寄り、貿易や布教活動を行いました。
2. 絵から読み取れる情報は?
絵をじっくり見ることで、こんなことがわかります
- 船から降りてくる南蛮人は何人?
- 先頭に立つ人物は?(司祭・指導者など)
- 黒人が登場している → 使用人や奴隷として連れてこられた可能性あり
- 南蛮人がどこへ向かっている? → 寺院や領主の館などに向かっている
- 目的は? → キリスト教の布教、貿易の交渉など
- 箱の中身は? → 鉄砲やガラス製品、絹などの貿易品かもしれません
絵を見ながら問いを立てると、歴史の背景がぐっと立体的になります!
3. 南蛮人の目的①:キリスト教の布教
キリスト教の中でも、当時はカトリック教会がイエズス会という宣教師のグループを世界に派遣していました。
代表的な人物がフランシスコ・ザビエル!
名前 | 活動内容 |
---|---|
ザビエル | 1549年に日本に来航/2年間で約1000人をキリスト教に改宗 |
キリスト教は特に九州地方を中心に広まりましたが、後に禁教へと変わっていきます
4. 南蛮人の目的②:貿易(南蛮貿易)
日本で南蛮人が行った貿易は「南蛮貿易」と呼ばれます
輸入品 | 内容 |
---|---|
ガラス製品 | 美しい装飾品など |
鉄砲 | 戦いの形を大きく変える道具 |
絹・香料 | 南アジアやヨーロッパの高級品 |
輸出品 | 内容 |
---|---|
銀(石見銀山) | 島根県で採掘/世界にも知られた名産 |
鉄砲は1543年、種子島に漂着したポルトガル人から伝えられました
→「火縄銃」が戦国時代の戦術を劇的に変化させた!
5. 天正遣欧使節の旅とその悲劇
日本からローマ教皇に会いに行った4人の少年たちがいました
→ 「天正遣欧使節」と呼ばれます(1582年出発)
内容:年齢は中高生くらいの若い少年たち 移動手段 船を使って10年以上かけて往復 目的 キリスト教とローマの文化を学ぶため 帰国後の状況 豊臣秀吉が政権を握っていてキリスト教が禁じられていた
→ 布教ができず、それぞれ別の道へ…
帰国後に「バテレン追放令」が出てしまい、彼らの努力が報われなかったのです
キーワードまとめ
用語 | 意味/内容 |
---|---|
南蛮人 | スペイン人・ポルトガル人など、大航海時代に日本に来たヨーロッパ人 |
南蛮貿易 | 南蛮人と行った貿易。鉄砲やガラスなどを輸入し、日本からは銀を輸出 |
フランシスコ・ザビエル | イエズス会の宣教師。日本にキリスト教を初めて伝えた人物 |
鉄砲の伝来 | 1543年、種子島に漂着したポルトガル人が鉄砲を伝えた |
天正遣欧使節 | 日本からヨーロッパへ送られた少年たち。ローマ教皇と対面した |
バテレン追放令 | 秀吉が宣教師を日本から追放した命令。キリスト教を禁止するための政策 |
確認問題
確認問題(選択式)
- 南蛮人とは主にどこの国の人?
A. イギリス B. スペイン・ポルトガル C. イタリア D. オランダ - 南蛮人の目的として正しくないものは?
A. キリスト教の布教 B. 貿易 C. 武力による征服 D. 鉄砲の伝来 - 南蛮貿易で日本から輸出されたものは?
A. 金 B. 絹 C. 銀 D. ガラス - ザビエルが伝えた宗教は?
A. 仏教 B. キリスト教 C. 神道 D. ユダヤ教 - 帰国後にキリスト教が禁止されていたため、活動ができなかった使節は?
A. 足利遣唐使 B. 遣欧少年団 C. 天正遣欧使節 D. 明治留学生
答え(記号+内容)
- B:スペイン・ポルトガル
- C:武力による征服
- C:銀
- B:キリスト教
- C:天正遣欧使節
記述練習問題
- 南蛮人が来航したことで、日本の戦い方や生活にどんな変化が起きたか、あなたの考えを書きなさい。
- 天正遣欧使節の少年たちは、どんな思いでヨーロッパへ向かったと思いますか?また、帰国後に待っていた状況についても書きましょう。
- 教科書の絵から読み取れたことの中で、いちばん印象に残ったことをあげて、理由とともに説明しなさい。
記述練習問題の解答例
1. 南蛮人が鉄砲を伝えたことで、戦い方が大きく変わりました。昔の戦いでは刀や弓を使っていたけれど、鉄砲を使うことで遠くから攻撃できるようになり、城のつくりや守り方も変化しました。貿易でガラス製品や服などが入ってきて、生活の道具や文化も新しくなったと思います。
2. 日本と世界をつなぎ、キリスト教を広めるという使命を持って、希望や緊張を感じながら出発したと思います。長い航海や言葉のちがいにもがんばって対応し、ローマ教皇に会えたことで大きな経験を積めたと思います。でも帰国したときにはキリスト教が禁止されていて、学んできたことを活かせず、悲しい気持ちになったと思います。
3. 黒人が南蛮人の荷物を持たされていた場面が印象に残りました。南蛮人と一緒に来た人が、自由な立場ではなく、働かされているように見えたからです。日本にヨーロッパの文化や技術が入ってきた一方で、人としての扱いのちがいにも気づくことができました。
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